2006年05月13日
2006.5.13 小泉発言に見るcomedynology
わかりやすいワンセンテンスのコメントを特徴とする小泉首相のコトバは、
コメディノロジーの教科書の例文といっても良いくらいコメディ的である。
この人のコトバは、実は、かなりの計算に裏付けられたもので、
カジュアルそうに見えていても、しっかりコトバが届くべき先のことを考え抜いているように思える。
小泉首相のコトバの届くべき対象。
それは、TVを中心としたマスメディアを疑わない人々、
ワイドショーなどを喜んで見るいわゆる一般大衆、
つまりは、日本全国に遍在する「コイズミ劇場のファン層」のことなのだ。
だから小泉首相のコトバは、目の前にいる人に語られているようなフリをしながら、
実は、TVの向こうのファンに向かって投げかけられている。
小泉首相のコトバは、わかりやすいにも関わらず、
よく考えると、釈然としない妙な感じを秘めていることが多いが、
その理由は、上述した二重性にあると見る。
そして、この二重性が、同時に笑いを生む仕掛けにもなっている。
この二重性は、
大衆に支持されてナンボの劇場型政治を行う政治家の帝王学である。
目の前にいる人物に気を取られて、真のお客であるTVの観客を忘れているようでは、
いくら良い人でも政治はできないというのが真実なのだろう。
が、そんなことは置いておいて、コメディノロジー である。
本日の午前中、小泉首相が、また名言を吐いた。
実践倫理宏正会の創立60周年記念式典であいさつした際、
来賓の安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、谷垣禎一財務相のポスト小泉候補3人を前に
「どうして首相になりたいのか。首相はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
と、いわば忠告のようなことを言ったのだ。
こんなニュース!
この発言に潜むコメディは、さきほど述べた二重性にある。
小泉劇場の主役である小泉首相は、
安倍、麻生、谷垣の各氏に向かって語っているようでありながら、
実は、主にワイドショー化した報道番組の視聴者に向かって、
このコトバを投げている。
そして、そのパフォーマンは高度に政治的な何かの布石であり、
その真意は、推測しかできないものである。
しかし、とにもかくにも、このシチュエーションのコメディ性は、
目の前にいる人たちに語りながら、
実は、目の前の人たちがメインのターゲットではないところにある。
それは、今日の発言にコメディノロジーのテクニックを用いて加工してみると、わかる。
まず、
「どうして首相になりたいのか。首相はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」を
方程式化してみる。
方程式化は、キーワードを削除して空欄にしてみると完成だ。
ここでは、こうなる。
↓
「どうして____になりたいのか。____はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
そして、小泉首相の声マネで、下線部 に 別のコトバを入れてみる。
「どうして ライオンヘア に なりたいのか。
ライオンヘア はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
「どうして 孝太郎の父親に なりたいのか。
孝太郎の父親 はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
「どうして ブッシュの犬に なりたいのか。
ブッシュの犬 はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
ちょっと関係ないものも入れてみて
「どうして 加藤鷹 に なりたいのか。
加藤鷹 はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
「どうして 猪木イズムの継承者 に なりたいのか。
猪木イズムの継承者 はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
「どうして ヒルズ族 に なりたいのか。
ヒルズ族はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
「どうして アメリカ産牛肉 に なりたいのか。
アメリカ産牛肉 はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
「どうして 将軍様 に なりたいのか。
将軍様 はそんなにいいもんじゃない。なってみれば分かる」
微妙なコトバを入れてみると、微妙な笑いの空気を醸し出す方程式ですね。
あるコメディ的な発言や文章が気になったら、
それらを上述のように方程式化してみて、
コトバを置き換える ④置き換えテクニックによって
コメディの素材の下ごしらえをすることができるのです。
by コメディライター 須田泰成 公式サイト
By Yasunari Suda:2006年05月13日 16:12
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