2006年05月17日
2006.5.17 コンドーム伯爵の憂鬱
マイミクのTさんのコラムに「固有名詞」のことが書かれていた。
オモシロイ観察だと思ったのは、
普通名詞である「絆創膏」だが、実際に世の中を流通しているのは、
「バンドエイド」や「サビオ」などの商品名=固有名詞であることに関するユーモア感。
絆創膏の歴史を軽くまとめると、
ドイツやアメリカなど、欧米で実用化・普及した絆創膏に
(英語では、adhesive plaster / sticking plaster)
絆創膏という和訳が与えられたのは、1920年代。
絆創膏は、絆創膏という普通名詞として、まずは日本国内に定着したのです。
しかし、絆創膏の名称に異変が起きたのは、1960年。
熊本のリバテープ製薬株式会社が「リバテープ」という商品名の
日本初の救急絆創膏を開発したのでした。
それで、九州南部から沖縄にかけては、年配の方々を中心に
指から血を流しながら「ちょっとリバテープとってくれんね?」という人が、
少なからず存在するらしいのです。
絆創膏=リバテープ文化圏ですね。
同じように、北海道や東北での絆創膏の勝ち組は、
ライオン株式会社の「サビオ」だったそうです。
指から血を流しながら「サビオ!早くサビオ!」というわけですね。
絆創膏=サビオ文化圏です。
同じようなことは他にもあり、
絆創膏のことを「カットバン」という人もいます。
私が子供の頃の関西では、
「メタルインドカレー」のようにメジャーだったと記憶しています。
カットバンは、祐徳薬品工業の商品です。
しかし、最近では、日本中が絆創膏=バンドエイド文化に席巻されてしまったようです。
バンドエイドは、アメリカのジョンソンエンドジョンソン社の絆創膏のことです。
この絆創膏の話には、コメディノロジーの要素が多分に含まれていますね。
それは、
「固有名詞(=商品名)」なのに「普通名詞」のように使われている点です。
固有名詞と普通名詞の混同ですね。
□スケッチ=コントの素
・野戦病院。指から血を流しながら男1が入ってくる。
指の付け根を押さえて止血しながら、そこら中の人に叫び&懇願する。
男1 バンドエイドくれぇ〜っ!
男2(九州弁)スマン! リバテープしかなかばい!
男1 バンドエイドくれぇ〜っ!
男3 (関西弁)すんまへん!カットバンしかあらへんわ!
男1 バンドエイドくれぇ〜っ!
男4(東北弁)サビオすか持ってねんだ。
男1 バンドエイドくれぇ〜っ!
うわっ!血が血が止まらない!大変だ〜!誰か絆創膏もってないか?」
男234「これでよければ!(絆創膏を差し出す)」
「固有名詞=商品名」なのに「普通名詞」のように認知されていることに潜むユーモア感は、
④「置き換え」の笑い だと分析できます。
本来の名称があるのに、ニックネームが公式に認知されている感じですね。
昔、コピー機のことをゼロックスと呼んでいた時代、上司の部長に企画書を手渡されて、
「須田くん、この企画書、6部でええから、ゼロックスとってくれ!」と言われたことがあります。
ウォークマン や ホッチキス や SECOM もそうですね。
そして、いまの旬は、i-pod でしょう。
i-pod の場合は、逆に「音楽用ハードディスク・プレイヤー」という普通名詞に
妙なペーソス感が潜んでいます。
本日の話題の最後は、コンドーム。
現在は、ゴム製の避妊具として知られるコンドームは、
17世紀半ば、イギリスのチャールズ2世の侍医・コンドーム伯爵が発明・開発したのだそうです。
当時は、油を塗ってのばした羊の腸を使ったとか魚の浮き袋を使ったとか。
(当初の目的は、避妊ではなく、男性を性感染症から守るものだったそうですが)
そして、名前なのですが、
コンドームは、「避妊用ペニスケース」とか「避妊ラバー」といった、
いかにも普通名詞といった名称には落ち着かず、
結局、固有名詞であるコンドーム伯爵の名前を冠せられることになり、現在に至っているわけです。
それも、イギリス国内だけではなく、世界中に広まりました。
固有名詞と普通名詞の大きなスケールの混同ームですね。
コンドーム伯爵は、死ぬ間際に
「頼むから!わしの名前をあの発明には付けないでくれ!」と哀願したにも関わらず、
その願いは果たされませんでした。
あの世で、コンドーム伯爵は、どんなに憂鬱な日々を過ごしていることでしょう。
by 須田泰成 公式サイト。
By Yasunari Suda:2006年05月17日 19:41
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