2006年05月21日

技術ーモラル=パイソン的コメディ

もうすぐ1歳9ヶ月になる娘に知恵がついてきた。
歯を磨くということを覚え(嫌がりながらだが)、
口を水で「グチュグチュしてペッ」することも覚えてきた。
が、同時に、時として、
あらゆる液体を「グチュグチュしてペッ」される
恐怖に我が家はさいなまれることになった。
みそ汁、ジュース、ヨーグルト、卵豆腐‥‥‥。
液体だけでなく半個体のやわらかいものまでが、
「グチュグチュしてペッ」のターゲットなのである。
娘の顔が「グチュグチュ」モードになると、
すぐに察知して「それはグチュグチュとちゃうよ」と、
言わないと大変なことになる。
あと、オシメを独りで脱げるようになってきた。
オシッコした後で、自分で脱いでオシメを振り回しながら
「はい」してくれると、思わずアタマをなでたくなる。
が、ウンチをした後、自分で脱いでオシメを振り回しながら
「はい」してくれると、
我が家は、古戦場の上に建てられた一軒家のお盆の深夜の丑三つ時のように、
恐ろしい空気に包まれる。
が、当の本人は、100%誉めてもらえると信じて疑わない、
得意満面の表情。
少しでも鼻にピンときたら、すぐに娘を見なければならない。
が、すでにズボンに手がかかっていることが多い。
ニコニコ笑いながらオシメをズラすその手に、
間一髪のところでストップをかける。
問題の根本は、「モラルが追いつかない技術の進歩or乱用は恐ろしい」ということだ。

しかし、
この「モラルが追いつかない技術の進歩or乱用は恐ろしい」という真実は、
実は、たんなる幼児の話ではなく、われわれ大人の社会をも串刺しにする
ブラックなコメディの話にも通じる。



モラルのない技術?
たとえば、環境や人命を軽視する原子力発電所とか
優生思想に基づいたクローン人間の開発などは、
「モラルが追いつかない技術の進歩or乱用」である。
公害の類いは概ねそういうことであって、
ピッタリの画像サンプルをマイミクの友人に教えてもらった中から紹介してみる。
これは、そんじょそこらのブラック・コメディを軽々と超えてしまった現実
青々とした広場の芝生に水を撒いているのかと思いきや、
爽やかに噴出する水の正体は、ペンキのような緑の液体だったというオチ。
もう本当にえらいことである。

実は、立派に振る舞っているかに見える大人も幼児と大差ないのである。
(このテーマに基づいて書かれたSFは少なくない)

最近、大人と幼児の役割を入れ替える「逆転」のテクニックを用いた
スケッチ=コントが、偶然、目につく。
イギリスの民放チャンネル4が世界史上をターゲットに製作した
『スケッチ・ショー』という30分番組シリーズには、
精神カウンセリングのシチュエーションのスケッチ=コントがある。
子供の頃のトラウマをまじめに語る大人の患者の話を一通り聞いた後で、
マジメ腐った精神カウンセラーが、こんな感じで続けるのだ。
「なるほど。要するに、あなたが言いたいことは、
 ママ〜ぼくちゃん、ひとりぼっちでさびしいんだよ〜ママ〜ママ〜‥‥‥‥‥
 ということですね」

実際にはモラルが足りないくせに、資本の論理に流されて、
開発を進歩を実施する大人の台詞は、すべて幼児の台詞に置き換えると、
真実がハッキリするのではないかと思う。
それに、もちろん、その方がオモシロイ。


by 須田泰成 公式サイト

By Yasunari Suda:2006年05月21日 01:25

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コメント

事実は小説よりも"奇"なり、ですね。

北京のスタジアムも実は書き割りかも。

投稿者 Kim:2006年05月24日 05:49




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須田泰成/コメディノロジー研究室・代表+コメディ・ライター&プロデューサー。

現代を生きるには、現実をコメディとして認識する能力が欠かせないという信念から、 コメディノロジー=comedynology を発想+その体系化をライフワークとする活動開始。 並行して、コメディ製作会社(有)大日本生ゲノムを率い、各種コンテンツ製作、 コメディ・スクール&バー経営などに励む。 CGギャグ番組『Yellow Subliminal』が、「モンティ・パイソン」や「Mr.BEAN」を 有名にしたスイスのコンペROSE D'OR の2005 Social Awareness Award にノミネート。 著書に『モンティ・パイソン大全』(洋泉社)など。コメディ脚本・映像など多数。詳しくは、大日本生ゲノム公式ホームページ須田泰成・公式サイトにて公開中。コメディとコミュニティをテーマにしたネット放送経堂にも後先よく考えずに着手。