2006年06月13日

一国の指導者のコメディノロジー

いま、時代は戦争っぽい。
共謀罪の成立、教育基本法の改正、防衛庁の防衛省への昇格、
実質的に米軍に編入されつつある自衛隊の問題なども現実味を帯びてきた。
政治的・経済的な意図があって、
日本を戦争がやりやすい体質に変えているような、
そんな気が濃厚にするのである。
この間、電車の求人雑誌の中吊り広告に
「1週間で新人の営業脳を鍛える」という特集の告知がデカデカと目立っていたが、
この言い方を真似ると
「1週間で国民の戦争脳を鍛える」というのが、いまの時代にフィットする。
また別の日に、20代女性向けのファッション雑誌の中吊り広告に
「夏までに恋愛体質になるために」という特集の告知がデカデカと目立っていたが、
この言い方を真似ると「夏までに戦争体質になるために」というのが、
これまた、いまの日本にフィットする。
そんな流れの勢いは、もはや止めようがない感があるが、
こんな「戦争脳」の「戦争体質」の世の中にコメディとして見る方法を、
もちろんコメディノロジーは、持っている。
例えば、
『ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足』(小長谷正明・著/中公新書)という
素敵な新書を読んでみよう!



『ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足』(小長谷正明・著/中公新書)
紹介されているエピソードは、
どれもこれもブラックな味わいのコメディである。
それは、20世紀の歴史に名を残す一国のリーダーの多くが、
実は、「神経の病」に冒されていて、そのため正常な判断ができず、
最悪なケースでは、そんなビョーキを克服しないまま権力にしがみついたために、
国民をドン底に突き落とすようなことが少なからずあったということなのだ。
そして、神経の病の症状は、映像に映る彼らの様子に如実に現れていたという。
1982年の日航機事故では、航空機の指導者である機長が、
ありえないシチュエーションで「エンジンを逆噴射」して、
「機長!逆噴射です!」という副操縦士が思わず口にしたというコトバは、
時間が経つと、ある種、ギャグの文脈でも使われるようになった。
『ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足』(小長谷正明・著/中公新書)
紹介されているエピソード多くも、
一国の指導者の「逆噴射」である。
「機長!逆噴射です!」ではなくて、
「首相!逆噴射です!」だったり、
「大統領!逆噴射です!」だったり、
「主席!逆噴射です!」だったり、
「ハイル!逆噴射です!」だったりという
『博士の異常な愛情』も土下座して逃げ出すほどのブラックさなのだ。
これらの指導者たちが、神経を病んだ理由には、重責に伴うストレスがあったらしい。
これから、本当に戦争の時代になってしまったら、
指導者たちの映像を時にはスロー再生しながらじっくり見てみよう、
そして、神経内科の医師の分析に耳を傾けてみよう。
そこには究極のブラック・コメディがあるはずなのだ。


また、このような究極のシチュエーションでなくても、
あなたの周囲にも
「社長!逆噴射です!」という会社や
「署長!逆噴射です!」という警察署や
「店長!逆噴射です!」というバイト先など、
同じ構造のコメディは、意外に多いような気がするが、どうでしょうか?


by 須田泰成 公式サイト

By Yasunari Suda:2006年06月13日 23:43

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コメント

読みました。
よく言えば20世紀の歴史観がひっくり返る素敵なエピソード満載、
悪く言えば戦争や社会主義の末期がいかに異常な状態で
何千万という人々が無駄に死んでいったかを思い知らされて背筋が凍りました。

近代医学を学んだお付きの医者を粛正してしまったので
いざ倒れたときにロクな処置がとられなかった、
というのはひどいブラックユーモア。

ちょうど日本でも元首相がお亡くなりになりましたが、
指導者たる者引き際の見極めが重要ですね。
あの国のあのお方は……?

投稿者 eno7753:2006年07月02日 02:54




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須田泰成/コメディノロジー研究室・代表+コメディ・ライター&プロデューサー。

現代を生きるには、現実をコメディとして認識する能力が欠かせないという信念から、 コメディノロジー=comedynology を発想+その体系化をライフワークとする活動開始。 並行して、コメディ製作会社(有)大日本生ゲノムを率い、各種コンテンツ製作、 コメディ・スクール&バー経営などに励む。 CGギャグ番組『Yellow Subliminal』が、「モンティ・パイソン」や「Mr.BEAN」を 有名にしたスイスのコンペROSE D'OR の2005 Social Awareness Award にノミネート。 著書に『モンティ・パイソン大全』(洋泉社)など。コメディ脚本・映像など多数。詳しくは、大日本生ゲノム公式ホームページ須田泰成・公式サイトにて公開中。コメディとコミュニティをテーマにしたネット放送経堂にも後先よく考えずに着手。